2025.8.20

AI

翼の生えた馬無し馬車

〜私たちは、AIという革命を正しく見ているだろうか?〜

変化の激しい時代、私たちは未来を理解するため過去の経験に頼りがちです。しかし、その経験が未来を見通す「罠」になっているとしたら?今回は、100年以上前のイノベーションから、現代の私たちへの教訓を考えます。

イノベーションに気づけなかった人々

ミシガン州デトロイトの歴史博物館には、1896年製の「Horseless Carriage(馬無し馬車)」が展示されています。エンジンで動くその革命的な乗り物を、当時の人々は「馬車」という唯一の物差しでしか表現できませんでした。「Automobile」(自動車)という本質を表す名前が与えられるまで、イノベーションの真価は見過ごされていたのです。これは、未知を前に過去の常識に引きつける「認知の罠」を象徴しています。

現代に潜む、同じ「罠」

この「認知の罠」は、今まさにAIの領域で起きているのではないでしょうか。私たちはAIを「自動化」や「効率化」といった既存の物差しで測り、現代版の「馬無し馬車」と認知している可能性があります。

しかし、歴史と決定的に違うのは、その変革の次元です。かつての変革が「馬車から自動車へ」という地上の進化であったのに対し、現代は地上を走る馬車の前に、突如『飛行機』が登場したような、まったく次元の異なる飛躍が起こっているのではないでしょうか。

もしそうだとすれば、私たちは飛行機を「翼の生えた馬無し馬車」と呼ぶような、本質を見誤る認識エラーを犯している危険性があるのかもしれません。

翼の生えた馬無し馬車

古い地図では、新しい大陸は見つからない

この「気づかぬうちの認識エラー」は、事業戦略において極めて重要です。過去の常識から作られた戦略は、馬車時代の古い地図のようなもの。その地図では、空を飛ぶ「飛行機」が到達できる、全く新しい大陸(=市場、価値)は見つけられません。

今私たちに必要なのは、古い地図の上で競争すること以上に、目の前の「飛行機(AI)」を正しく認識し、新たな地図(AI活用を前提とした市場)を描き直すことです。

編集後記

なぜ100年以上も前の「馬無し馬車」の話を取り上げたのか。それは、AIという革命を前にした現代の私たちと、驚くほど状況が似ていると感じたからです。

人は無意識のうちに、未知のものを過去の物差しで測ってしまいます。今回のコラムでは、AIを「より速い馬車」としてではなく、全く新しい「飛行機」として捉え直す視点を提示させていただきました。

皆様のビジネスにおいて、AIはどのような存在として映っているでしょうか。この記事が、当たり前を疑い、未来の可能性を再発見するささやかなきっかけとなれば、これほどうれしいことはありません。

編集員:畠田 拓

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